HOME > ペインクリニック 内科 > コラム
コラム
診療概要
ペインクリニックとは
各種痛みの治療
変形性膝関節症
慢性の痛み
腰痛症 慢性の腰痛
急性腰痛
神経ブロックのおはなし
男性の方の治療について
帯状疱疹後神経痛の予防注射
帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛
頭痛
骨粗しょう症とは
多汗症の治療
コラム
「急性腰痛」
ぎっくり腰のような内臓疾患に関係ない急性腰痛の症状には次のようなものがあります。
痛みが強く体を動かすことが困難、いつ発症したか比較的はっきりしている、
安静にしていると痛みはまし、発症が3か月以内
高齢者の急性腰痛には背骨の骨折によるものも比較的よくみられます。
激しい急性腰痛には次のような病気が原因のこともあります。
尿管結石、大動脈解離、脊椎の炎症、脊髄腫瘍などです。
安静時にも強い痛みが持続する、腰痛以外の症状があるときは精査が必要になります。
腰痛以外の症状は次のようなものです。
血尿、激しい胸痛、発熱、手足を動かしにくいなどの神経症状、
既往歴に糖尿病、高血圧、癌、免疫を抑制する治療を要する疾患 がある場合は特に注意が必要です。
治療:安静、消炎鎮痛剤投与、神経ブロック
急性期を過ぎたら徐々に運動を再開します。
再発予防:正しい姿勢の維持、腰に負担をかけない動作の習得、適切な運動習慣
筋肉量を保持し腰に負担をかけない工夫をすることで再発をふせぐことができます。
「腰痛 慢性の腰痛」
腰痛には急性のものと慢性のものがあります。今回はすくなくとも3か月以上持続する慢性腰痛について原因、診断、治療、治療のめざすところについて書いてみようと思います。
慢性腰痛の原因はたくさんあります。
1.筋肉の問題: 筋肉の過緊張や筋肉量低下による血流低下
2.背骨、椎間板の問題: 加齢による背骨や椎間板の変形 骨粗鬆症や怪我による背骨の骨折
3.その他:姿勢が悪い 同じ姿勢を長時間している、肥満、日常的に体に過度の負荷がかかっている(例 重いものを運ぶ仕事)、心理的ストレスなど
上にあげたものが複数関与していることもあります。
症状:腰全体がいつもだるい、重たい痛みと表現されることが多いです。慢性の腰痛に突然急性腰痛が混じることもあります。その場合、ずっと腰痛はあったがある日突然体を動かすことができないほど強い痛みがきたと表現されます。
診断: 診断は主に症状、病歴によりますが画像診断を加えることもあります。
治療:薬物療法、装具装着、運動療法、生活指導を組み合わせます。薬物療法のみで軽快することはあまりありません。安静は必ずしも有効でなく個人個人にあった活動性を保つと経過がよいことが知られています。治療の中で生活指導は重要な部分ですが患者さんに努力してもらわなければならず痛みでつらい思いをしている患者さんにはつらいところです。 慢性の腰痛症の場合、痛みを悪化させている生活習慣を見直すことがとても重要になります。正しい姿勢を保つ、適度な運動、体重管理、長時間の同じ姿勢を避けるなどです。
治療の目指すところ:目指すのは慢性の痛みによって生活のレベルが著しく落ちるのを防ぐ、できれば生活レベルを向上させることです。一般に加齢とともに体の痛いところは増えますが痛みと自分の体をよく知り1日中痛みの事ばかり考えるような生活から解放されることが目標となります。
「帯状疱疹の痛み」
帯状疱疹はそもそも子供の頃にかかった‘みずぼうそう 水痘’です。神経に潜んでいた水疱瘡のウイルスが、体調不良や抵抗力の低下をきっかけに神経の走行にそって発疹と痛みをおこします。最初は皮膚が赤くなりその後小さい水疱がたくさんできます。水疱が出る前からぴりぴりとした痛みを感じその部位の感覚が鈍くなる方もいれば、水疱が出てから痛みや感覚の鈍さを感じる方もいます。子供の頃の水疱瘡と違い水疱は体の片側にだけみられます。たとえば、片方の顔面から頭部、片側の胸から背中、片腕、片方の腹部あるいは、片方の足などです。帯状疱疹ウイルスは1週間程度の抗ウイルス剤の内服や点滴により退治できます。ウイルスはほとんどの場合重症化することなく退治できますが、痛みは程度や治り方が人によって大きく違い治療が難しいこともあります。抗ウイルス剤のみで痛みが軽減することもありますし、通常の痛み止め(消炎鎮痛剤)を加えることで楽になり水疱が消えるとともに痛みも消えてしまう場合もありますが、通常の鎮痛剤では我慢できないほど痛みが強い場合もありますし、水疱が消え皮膚科に治療終了といわれた頃、急に激痛となる場合もあります。痛む期間も数週間、数ヶ月、半年以上とさまざまです。帯状疱疹にかかるということは体力がおちているということですから、痛みをとり十分に休息することが大事です。通常の鎮痛剤で痛みが取れない時や鎮痛剤を必要とする期間が長引く時は神経ブロックをします。痛みだしてから数ヶ月以内は多くの場合非常によく効きます。痛みだしてから半年以上たちますと効果が悪くなってきます。薬も通常の鎮痛剤以外に抗痙攣剤、抗うつ剤などいろいろな薬を組み合わせます。帯状疱疹は後遺症である痛みの治療がむずかしい病気です。痛みが強い場合は早めにご相談ください。
「頚椎症:後頭部、肩、腕、肩甲骨周辺の痛みとしびれ」
後頭部、肩、腕、肩甲骨周辺の痛みやしびれ、がんこな肩こり、手が動きにくいといった症状は老化や外傷による頚椎(首の骨)や椎間板(首の骨と骨の間にあるクッションのような役目の組織)の劣化が原因となることが多いです。頚椎や椎間板の形が悪くなるとまわりの組織や近くを通る神経に炎症や神経過敏がおこり、それにより痛み、しびれ、運動障害などの症状があらわれます。これを頚椎症といいます。痛み、しびれ、運動障害の症状すべてがあることもあればひとつ、ふたつの症状のみのこともあります。そのほか耳鳴り、めまい、ふらつき、眼痛、眼精疲労、視力障害などがみられる場合もあります。治療は炎症や痛みをなるべく早く抑え日常生活に早くもどることが目的となります。薬や神経ブロックが主な方法で症状が軽快すれば治療終了となります。症状さえ軽快すれば、麻痺症状や他の症状が進行するといった場合をのぞいて一般に手術はしません。神経は繊細ですからなるべくさわらずそっとしておくのです。頚椎や椎間板の劣化は進行することはあってももとにもどることはありません。しかし形がもとにもどることはなくても症状は消失したり軽快したりします。症状が軽快したら日常生活を楽しみ同時に軽い運動をこころがけ首に負担のかかる姿勢を避ける工夫をして症状の再発予防をします。